VOICE

卒業生の声 2021/10/12

自分の立っている場所

はじめまして。神奈川県横須賀市出身の石渡博之です。

現在、陸前高田市広田町に移住して5年目になりました。

大学生1年の春に1週間広田町で過ごし、毎月通うようになった学生生活。

そこから自分の生きる地域としてこの広田町を選び、2017年4月に移住してきて現在に至ります。

 

大学1年生の僕は、「知らない世界」を知りたい欲求が非常に高まっていました。

 

特に、日本。

 

海外留学の案内パンフレットには笑顔満載の写真や綺麗な風景などが数多く載せられており、海外に行くと「知らない世界」を知ったぞ感がどこか漂っているなあと感じていました。そんなパンフレットを横目にキャンパスライフを過ごしながらも、まず自分の国のことをどこまで自分は知っているんだろうか。ということを考え始めました。

 

考え始めたきっかけは大学での講義や様々な人との出会いです。

大学では歴史の勉強をしていましたが、それまで暗記でしか向き合ってこなかった日本の歴史の奥の深さを感じました。

歴史から現代社会の構造やこの先の未来では何が起こりうるのかをたくさん考えさせられましたが、これまでの日本の教育での歴史の扱い方に疑問も大きくなっていきました。

 

「自分が立っている地のことを知らず、世界を語っていいのか?」

 

 

そこで飛び込んでみた、陸前高田市広田町。

圧倒的に出会ったことのない日本の姿と出会うことになりました。

 

田舎の風景は、視覚だけでなく、聴覚や嗅覚、風の流れによって触覚も刺激されました。

 

そして、郷土料理や町の方の想いがこもった料理で触覚も。

 

五感で日本の一面を感じることができました。

五感で自分が生きてきた地域の延長線上にある世界を知りました。

 

「自分が立っている場所の先には何があるんだろう?」

もっといろんな日本の一面と出会うことの欲求が高まりました。

 

 

それと同時に僕の中で「この日本でどう生きていくか」ということを考え始めました。

 

たまたま出会った陸前高田市広田町。

何かに専念したかった僕は、毎日悩みながらもこの場所に毎月通い続けました。

この先、この場所で生きていく確信があったわけではないけれど、仲間たちがいて、町の方々もいて、新しい出会いがあって。

僕にとってはこの広田町を通して知らなかった日本を知る一歩になっていきました。

 

自分の生きてきた場所から、生きたいと思える場所との出会い。

自分の人生に期待を込められるのは、自分の踏み出した一歩と、歩み続ける二歩目以降の素直な欲求なのだと感じました。

 

 

初めて出会った土地と、自分のこれまでの人生と、周りの人々の存在が絡み合っていることで、「知らない世界との出会い」というより、「思い描いてこなかった世界」を想像することができました。

 

 

そうして現在もこの広田町で暮らしています。

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