大学3年生の私は、クールに大人ぶっていた。
当たり前のように、大学に行き、友達と遊び、アルバイトして、、
思い描いていた大学生活ではあるけれど、どこか盛り上がりきらない感が
私の心の中にフツフツとうごめき出していた。
そんな時に、大学の知り合いが
「陸前高田市広田町に行ってみない?」と、声をかけてくれた。
震災復興というより、ボランティアというより
地方に暮らす人への興味、どんな町がそこにあるのか
好奇心から行くことを決めた。
そして初めて広田町に足を運んだ日、
私はこの町が、この町の人が好きになった。
好きになるには一瞬だったけれど、
この町で活動することで、たしかに私の中で動いたものがあった。
“大人”のイメージだ。
広田町に出会う前の私にとって“大人”のイメージは素敵なものではなかった。
私の周りで“人生が楽しい”と輝いている人がいないように見えていたから。
きっと、働くことはやりたいことや好きなことでなく、やらなければいけないことなんだというイメージがいつの間にか蓄積されていた。
でも、この町は違った。
泥臭く一瞬一瞬を思いっきり生きている人
少年のように自然との遊び方を教えてくれる人
自分の仕事のやりがいを楽しそうに語ってくれる人
この町には、かっこいい大人がたくさんいた。
どの人もみんな、
自分の気持ちに素直に生き、やりたいことをやるために頑張っている。
守りたいものは人それぞれだけど、その中でも一生懸命強く生きる姿から
大人になっても夢を描ける、追いかけられることを教えてもらった。
そして、もう一つかかせない存在の“仲間”がいた。
この町で活動する中で、
思いっきり笑ったり、顔が腫れるくらい泣いたり、
仲間と抱き合って喜んだり、眠気と戦いながら夜中まで話し合ったり、
町の人はもちろん、仲間がいつも一緒にいた。
一瞬一瞬がとても濃く、色鮮やかだった。
そんなかけがえのない日々を過ごし、見えてきた夢がある。
私に子供ができて、その子供が大きくなった時に
「お母さん大人になっても青春してるんだね」と笑いながら、呆れられながら、
羨ましがられながら、、
どんな風にかはわからないけれど、そう思ってもらえる日まで
自分が好きなことをしてバカやっていたい。という夢。
夢を描き続ける、追いかけ続けるという夢。
この町と出会う前は、夢を追いかけ続ける人を見て、
羨ましがりながら憧れながらも私には遠い存在と思っていた。
けれど、今となっては自分の夢であり、体現していきたい大人像となっている。
そう思えるようになったのも、
この町で、この町とみんなと出会えたから。
だから、私はこの町に移住した。
だから、私はこの町で夢を描き続けたい。
これから先、どんなことがあってもみんなと笑いながら歳をとりたい、
そう願う26歳の春@広田町。