第20期CMSP 古川ゆりえ(ゆりえ)
中央大学法学部2年
広田町中沢浜で過ごした一週間。一週間は本当に毎日が全力で、喜怒哀楽が信じられないくらい自分の中にあった。息をする暇もないほど、常に、何をしたいか、何ができるか、何をするべきか考えていた。
一方で、広田のおじいちゃんおばあちゃんといると、何度も何度も温かい気持ちになった。
今までに体験した事がない、濃い、濃すぎる1週間だった。
伝えたい出来事は山ほどあるが、1つあげるとするなら、初めて「食べ物を食べて泣いた」
ことを話したい。
あれは4日目だった。とあるおばあちゃんの家でお茶っこ(お茶会)をしていたときだ。
おばあちゃんは元々引きこもりがちで、家から出たがらず、人と関わることも好きではなかったらしい。
私たち参加者が合流するずっと前から、スタッフの人が何度も足を運んでいた。実際に会ってみると、とてもそうとは思えない優しい笑顔をしたおばあちゃんだった。
最初は談笑していたが、おばあちゃんはしばらくしてお菓子をだしてきた。私たちのために買ってくれていたのかと思うと嬉しかった。
そして心が震えたのはそのあとのお煮しめ(煮物とおでんの中間みたいなもの)だった。
お煮しめを口に入れた瞬間は、今でも忘れられない。味だけではない美味しさが、優しさが、身体の中に入り込んできた。噛んだ瞬間に、前日の夜から煮込んで作り始めているおばあちゃんの姿が頭の中に出てきた。
その姿に、温かさに、美味しさに、私の目からは涙が出てきた。