伝えること、伝わること、そして今伝えたいこと

 

 

第13期プロジェクトリーダー

青山学院大学教育人間科学部教育学科3年  有薗文太

 

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広田町と関わってもうすぐ一年。高校時代の友人から「お前だから来てほしい。」といって出会ったこの町で、この夏三回目のCMSPを迎えようとしている。

その活動の中で、僕自身いろいろなことを考えてきた。

その中でも最近特に考えている「想いを伝えること」。これは自分が今回リーダーとして一緒に夏を走り抜けるメンバーに「声をあげて想いを伝える」という場面が多くなってきたからだ。今回はこれについて少し話していきたいと思う。

 

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人に何か自分の考えを100パーセント伝えることはとても難しい。

 

CMSPというのは「広田という町のために大学生が本気で知恵振り絞って考え抜いて、何か新しい価値を生み出す一週間のプログラム」で、現在僕を含めて27人大学生のスタッフが、その一週間の夏のプログラムを最高のものにしようと、日々東京で会議を重ねている。

何か一つプログラムを作ろうとするときに、一人の力ではやはり限界があって、僕らの場合、スタッフみんなが「何にワクワクするか」「どうしたら最高の目的のイメージを描けるのか」「どうすればみんなの「やりたいこと」を積み重ねられるのか」などなど、各々自分が持っている価値観をぶつけ、認め合い、乗せあうことによって、よりよいプログラムを目指していているのだ。

そのような感じで、僕自身も他のメンバーとコミュニケーションをとる機会が多くて、とても楽しみながら作り上げている。だがその数と比例するように、「あ、言いたかった事が伝わっていない・・・」と思うケースが少なくない。その原因はいろいろ考えられて、自分が言葉足らずの時もあるし、少し語気の強い言葉を選んでしまって伝えたかった微妙なニュアンスを伝えられない時もある。

言葉は一度相手に投げれば、自分のもとには二度と戻って来なくて、返ってくるのは自分の言葉に対する顔の表情や言葉というような何かしらの反応。

それを見て、何がいけなかったのか考える。伝え方を変えてみる。伝える。相手の反応を見る。また考える・・・・その繰り返し。正直もどかしくなってしまうし、がんじがらめになった糸を必死にほどこうとしている感覚。

それをほどこうと必死にもがいてもがいてもがいてもがいて。そのコミュニケーションが苦しいし、投げ出したいと思ったこともある。それでも今日もまた、自分の考えをすべて伝えきるようにするためにはどうすればよいのかを考える。

そこまでしてトライし続けられているのは、もしかしたら、「自分の思いを100パーセント受け止めて、共に走ろうとしてくれる仲間」がいるからなのかもしれない。

 

 

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本気の想いって、絶対に伝わるんだ。

 

自分の想いをすべて伝えるのは難しい。しかしその一方で、「自分の想いの中でほんとうに伝えたいコアな部分」を掘り下げて、それを必死に言葉にして、相手にありったけの想い、そして身振り手振りで必死に伝える。そうすると意外にも相手に伝わっちゃう。そんな経験をしたこともある。

僕は前回のCMSPにスタッフとして関わっていて、そのプログラムの一環として、広田町のとあるご家庭に民泊をお願いしたことがある。民泊というのは、一般の宿泊や民宿とは違い、一つの家庭の家族の一員として、その家庭に生活体験をさせてもらうというものだ。僕が民泊を頼んだご家庭のお母さんとは、何度も遊びにいっていたおかげかかなり仲良くなっていて、そのおかげで気軽に民泊のお話をすることができたのを覚えている。

しかしその返事は「NO」。理由は「うちには何も大学生に見せるものもないし、もてなせるものもない。」というような感じだった。

僕は言葉に詰まった。そしてなにか納得してもらえるような言葉を探した、探した、探した。

が、「その場にふさわしい」言葉は出てこない。

そんな中、自分の心の奥から、「温かいなにか」が溢れだしてくる。それ以外何も出てこなかった僕は、その「温かいなにか」に素直になって、言葉を発した。僕が抱いていた思いはただ一つ、それは、

 

「おいしい料理とか、立派な家じゃない。僕は、この大好きな人と会わせたいから大学生を連れてきたい。」

 

そのあとも必死になってこの思いを伝えた。ありったけのこの想いをのせて言葉を紡いだ。

そして、伝わった。

「わかりました。民泊やりましょう!」

伝わったと分かったとき、泣いた。

なぜか出てきた。今までこんな経験はなかった。

だけど、「そんなに悪いもんじゃないな」っておもった。

今回僕は、前回とまた同じ地区で活動している。だから今もぼくは、その人のところにちょくちょく遊びにいっている。やはり、自分の想いが通じたからか、気軽に遊びに行けるし、一つの心の拠り所になっている。そこには居心地の良い空間が広がっていて、「帰りたい」場所の一つになっている。

 

 

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「今」伝えたいこと

 

 陸前高田市広田町。この小さな町にこの夏、大学生が100人やってきて、お互いに色々な想いを伝えながら何か「新しい風」を吹かせようとしている。

100分の一である自分が全力で取り組むことで、自分が誰かの力になって笑顔になってくれる。そこに自分と大好きなあの人の「居心地の良い空間」が広がっている。その可能性が100通りもある。

単純にすごいことだし、そこに自分はとても「ワクワク」している。

そんなCMSPを、より多くの人に知ってもらいたいし、今この記事を読んでいるあなたに100人の中の一人として一緒に新しい風を吹かす仲間になりたい。

この想いが、今「伝える」ことに強い力を感じている僕だからこそ、しっかりあなたの心に響いてほしいと思うし、響いていると信じている。

 

 

 

 

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